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大学概要

教員の紹介

霜鳥 慈岳
SHIMOTORI Yasutaka
バイオ食品工学コース / 准教授
応用化学系

研究者情報

  • 学位

    博士(工学)

  • 担当授業科目

    ????食品工学概論,化学III,????食品工学実験II,有機化学II,????食品工学演習I,????食品工学演習II,天然物化学

  • 専門分野

    有機化学

  • 研究テーマ

    光学活性な香料化合物の合成と香気特性の評価

  • 所属学会

    日本化学会,高分子学会,日本油化学会

研究室の概要

天然物有機化学研究室では、“有機合成”と“機能性の評価”をキーワードに研究を行っています。手は親指、人差し指、中指、薬指、小指の順で構成されていて、右手も左手も同じですが重ね合わせることはできません。有機化学の分野においても同じことが起こり、これを掌性(鏡像異性体)といいます。鏡像異性体は私たちの日常にも非常に密接に関係しており、身体を構成するアミノ酸や食事で摂取する糖にも鏡像異性体が存在します。アミノ酸にはD-体とL-体の2種類の鏡像異性体が存在しますが、身体を構成するアミノ酸はL-体のみです。この他にも複数の鏡像異性体があるものの、自然界には片方のみ、または一方に偏っているものがたくさんあります。私たちは鏡像異性体を“味”や“におい”、“薬の効能”などとして無意識に感じ取っています。有名な一例として、d-リモネンはオレンジの香りがするのに対して、l-リモネンはレモンの香りがします。また、風邪薬として使われるイブプロフェンは(S)-体が有効成分です。このようなことから、鏡像異性体を作り分けるということが非常に大切であり、当研究室では香料化合物、抗酸化物質、抗菌活性物質の鏡像異性体の合成とそれらの機能性の評価を行っています。

研究室の研究テーマ

  • 光学活性なラクトン類の合成とにおいの評価

    ラクトン類は果物や乳製品などの香気成分として働いています。鏡像異性体が存在し、その種類や天然物の違いにより様々な異性体比率で含まれています。さらに、異性体間で香気や閾値が異なります。より本物らしい香料を目指した場合には、目的とする異性体比率で調合する必要があり、効率的な光学活性体の合成方法が望まれています。当研究室では酵素や光学分割剤を用いる方法により、光学活性なラクトン類の合成を行い、においの評価をしています。

  • 茶カテキン代謝物ラクトン類の光学活性体合成と抗酸化評価

    緑茶や紅茶、烏龍茶などの茶葉を原料としたお茶の中には、エピカテキンやエピガロカテキン、およびそれらの没食子酸エステルであるエピカテキンガレートやエピガロカテキンガレートなどがポリフェノール成分として含まれています。これらカテキン類は体内で代謝されることにより、ヒドロキシフェニル基を有したγ-バレロラクトン類に変換されます。当研究室では、これら茶カテキン代謝物であるγ-ラクトン類やその類縁体の鏡像異性体を立体選択的に合成し、抗酸化性などの機能性の評価を行っています。

  • 光学活性チオアミド類の合成と抗菌活性評価

    ペニシリンは誰もが知っているであろう青カビから発見された抗生物質です。しかし、ペニシリンも万能ではなく効果を示さない細菌が存在するだけではなく、抗生物質に対して耐性を持った細菌も生まれます。そのため、抗菌性を示す新たな物質の探索は今なお続けられています。私たちはδ-ラクトン類の前駆体であるN-メチル-5-アセトキシアルカンアミド類が新規骨格を持つ抗菌活性物質であること発見しました。一般に、硫黄を導入することにより生物活性が向上することが知られています。そこで、当研究室ではアミド結合部分の酸素を硫黄に置換したチオアミド化合物の光学活性体を合成し、化学構造と抗菌性との相関を確立することを目的として研究しています。